皆様おはようございます。マコトです。今日は再びソーセージの作り方です。
前回投稿した内容から更に改良が加わっています。
たまに、『何のためにこのソーセージ作りを続けているのか?』と言う疑問が頭をよぎる事があります。
正直に言うと手間もかかるし神経も使う本当に大変な作業ですが、『どうしたら完成度を上げる事が出来るのか?』と言う挑戦だと思っています。
もはや意地です。
食品を作りだすと言うより作品を作り出している感じ。程良い反りとしっかりとしたハリがあって折れる様な噛み応えがあるソーセージが100点ですよね。
ハッピーカフェ食堂の店主は『諦めない』、『満足しない』、『知ったつもりにならない』、『続ける』と言う事を仕事の基本として大事にしています。
10年以上前に始めたソーセージ作りはコツコツと技術と知識を蓄え進化を続けています。それは、ハッピーカフェ食堂の歩みと似た所もあると思います。
『継続は力なり』
ソーセージ作りにしてもお店の運営にしても、悩んで考て学び続ける事でより良いモノに成って行くんだと確信しています。
さて、本題に入りましょう。
まずは過去の記事です。
ソーセージの材料です。自然な味わいを出そうと心掛けており、体に不要な物は取り入れない。と言う事で化学調味料や保存料などの添加物は一切使用しません。ソーセージの皮も人工ケーシングでは無く塩漬けの天然羊腸を使用しています。
【材料】
やまゆりポークのウデ肉の挽肉1.5kg(脂身と赤味の割合は2.5:7.5くらい)
羊腸5.5m
A粗塩30g
甜菜糖30g
B白コショウ3g
ナツメグ0.7g
コリアンダー0.7g
ローレル1.5g
タマネギ45g
にんにく7g
ショウガ7g
野菜スープ(玉葱、にんにく、しょうがの搾り汁と合わせて95gに成る様に調整する。大体50g程度になる)
ソーセージ作りには必ずと言っていいほど液体(水やコンソメスープなど)が加えられています。ハッピーカフェ食堂では自家製の野菜スープを使っていますが、この加える液体の量によって仕上がりに大きな違いが出る事が分かって来ました。
現在、最適と思われる割合は挽肉250gに対して液体15gです。これで張りがある仕上がりに成ります。
実は今まではこれよりも液体の割合が多かったです。その頃の仕上がりは張りが弱くふにゃっとした柔らかさがありました。液体を増やすと柔らかくなり、減らすと固くなります。いろいろ試した結果、最適は挽肉250gに対して液体15gと言う事に落ち着きました。
まず、ウデ肉の挽肉を250gずつに分け半冷凍の状態に成るまで冷却する。冷凍庫に入れるのは以前も書きましたが、作業中の温度上昇から肉を守る為でスタート地点の温度が低ければ低いほど時間に余裕が生まれます。
お肉を冷却している間にスパイスなどその他の材料の準備をします。
Aの粗塩、てんさい糖を合わせて、6等分にする
Bも同様にすべて合わせます。粉のスパイスが玉にならないように気を付けて下さい。合わせたBは冷凍庫に入れシャーベット状に凍らせます。
フードプロセッサー、スタッファーの準備もしましょう。スタッファーのシリンダーは冷凍庫で冷やしておく事をお薦めします。
では、本格的な作業を始めます。今回、二つ改良と言うか工夫を加えました。
一つはフードプロセッサーに冷却材を巻きつける事。冷却材とそれを止めるマジックベルトは100円均一のお店で手に入れました。
Bの材料を冷凍してシャーベット状にする事がそれに当たります。
二つとも作業中の肉の温度上昇を少しでも遅らせる為に必要な事だと思います。
まず挽肉250gをフードプロセッサーにかけ滑らかに成るまで撹拌します。お肉の温度が上がらないよう(8度以下をキープ)手早く作業をし、ある程度滑らかになったら6等分にしたAの粗塩と甜菜糖を入れ更にフードプロセッサーでお肉と粗塩、甜菜糖をよ〜〜〜く馴染ませるように撹拌します。
ココが上手に出来れば経験上失敗を恐れる事はありません。
次いで、シャーベット状にしたBを16g加え更に滑らかにします。ちなみに何故Bが16gか?と言うとBに入っているスパイス類と液体(しぼり汁と野菜スープ)を合わせると大体100g程度となります。その100gを6で割ると16.6となります。17gで使い続けると最後に足りなくなるので16gで作っています。
全体が馴染んだらシリンダーに移します。シリンダーはその都度冷凍庫で冷却します。
この作業を6回行います。そうすると1.5kgのお肉の下準備が終わります。
一度に1.5kgの肉を扱えるフードプロセッサーはそうないと思います。HAPPY cafe 食堂にもそんなに大きなフードプロセッサーは無いので材料を全て6等分に分けて作業を行います。
次はスタッファーのノズルに塩抜きした羊腸を装着。羊腸をノズルに装着する時、固くてうまく付かない事があります。その場合は羊腸の内側に油を流すと装着し易くなります。油はサラサラ系のモノやオリーブオイルの様な香りの強いモノは使わない事、ハッピーカフェ食堂は米油を使っています。
HAPPY cafe 食堂では新潟のパクモグドットコムさんから塩漬けの羊腸を仕入れています。
羊腸の原産国はオーストラリア、ニュージーランド。1ハンクと言う単位で長さにすると約91m(いったい何本のソーセージが作れるのか見当もつかない長さです)。
腸の直径は19mmから21mmのモノを使っています。仮に19mmと21mmのモノを並べてると太さが結構違います。わずか2mmの違いですが侮れません。この辺りは自然のモノを使用しており羊の個体差から出るものなのでご容赦ください。太さの違いについては私自身も腸詰をしてみないと分かりません。『前回は太かったのに!!』って怒らないでくださいね。
ここからは時間の勝負です。一気に詰めましょう。
肉を詰めて送り出した羊腸は捻じったり極端に曲げないように気をつけましょう。しっかり詰めた羊腸は非常に脆く破れやすいです。
詰めたら捻じって成形。長さはお好みで。腸詰の具合にもよりますが長すぎると締りが悪くなりますし、短すぎると捻じりの際に腸が破れてしまいます。また、腸を捻じり過ぎると捻じられた場所に大きな圧力が掛かり羊腸が破れやすくなるので捻じり過ぎにもご用心。1か所2〜3回程度で十分だと思います。
腸詰から茹で始めまでは途中でお肉を冷凍庫に入れる事は出来ません。一刻を争う作業です。
成形が終わったら15分間じっくりと下茹でします。温度は65度から70度の間を保って下さい。チョット目を離すとあっと言う間に温度が上がりますが75度を絶対に超えないように気をつけましょう。
75度それは超えてはならないラインです。
何故かと言うと脂が解けて旨味が逃げてしまうんですよ。100点満点中90点のソーセージを作りたかったら最後に気を抜いてはいけません。
私なりのソーセージ作りの成否の目安は茹でている最中のソーセージに押し返す様な弾力がある事と茹で汁に脂が浮いてこない事です。
最初の作業で肉の温度を上げず(8度以下をキープ)粗塩と甜菜糖が十分に混ざり粘りが出ていれば脂は浮いて来ません。(もちろん下茹でまでの行程で室温に置いておくなどした場合はその限りではありませんよ)
押し返してくるような弾力が無かったり、茹で汁に大量の脂が浮いたりしている時は失敗です。
まず、取り返しは付きません。諦めましょう。
未熟者の私ですらこの1.5kgのお肉でソーセージを造るのに下準備から2時間ほどかかります。この時間を無駄にしない為にも細心の注意を払って作業を進めましょう。
15分たったら鍋から熱湯を捨てつつ水を加え最後に氷で満たして一気に冷却します。
30分ほど放置して十分に荒熱が取れたら完成です。食べきれない分はフリーザーバックなどに入れて冷凍すれば保存もできます。
冷凍した場合は冷蔵庫に入れて解凍してから焼くとパリッとしたジューシーなソーセージを味わう事が出来ますよ。
非常に大がかりな作業ですが、出来たてのソーセージはなかなか食べれませんよ。
初めてソーセージ作りにおすすめ!お肉を買ってくればすぐに作り始める事が出来ます。
本格的に作りたい方向け腸詰の道具です。当店も同様の機器を使用しております。
ソーセージの皮、天然の羊腸の塩漬けです。
ソーセージ用のスパイスミックス。手軽に本格的な味わいになります。